おはこんばんちは。あた岡狂太郎です。
背景
ハイエースばかりのブログに稀にDIYのブログを入れていますが、突如登場させましたミシンの話。
ヴィンテージレプリカなどの質の良いジーンズを新品から穿き込んで育てるのが好きで、その類のジーンズの裾上げにはUnionSpecialの43200Gを使うのが通の常識。学生の頃からこのアンティークミシンをいつか手に入れてやろうと思っており、2022年3月に調子が悪く維持できないという個体をヤフオクで落としたのでした。
購入状態のテーブル
買った時は、昭和か平成初期のいかにもな合板のテーブルに、よくある鉄板金の脚がついており、工業用ミシンのテーブル、脚台って感じです。
ここから、天板を見た目が良い無垢の板材にして、脚を足踏みミシンの脚に変更します。

テーブル裏には、大きなクラッチモーターがついていましたが、大きいし使いにくいのでこの機会に小型サーボモーターに変更するため、この時点で交換して動作確認までしています。
クラッチモーターとは、電源ONで常に回転しており、ペダルを踏むとクラッチがつながってミシンが回る機構です。動かし始めは半クラで速度を調整します。この機構なので当然位置制御はできませんし即座に止まることもできないため、ミシンを回転させてからペダルを戻すと、若干惰性で動いた後、針がストロークのどの位置で止まるかも不明です。
サーボモーターは検出器で針が上か下かわかりますし、加速減速も制御できるため、ある程度即座に止まるし、針上死点で止めたり、下死点で止める設定もできます。操作性が格段に向上します。

分解
ミシンテーブルの天板は、板買ってきてミシン頭部を上にポンと載せるだけではありません。
写真の通り、穴が開いています。天板下に設置するモーターとミシン頭部のプーリーをつなぐVベルトを通す穴や、押え金やラッパ位置を操作するペダルを通す穴などが必要になります。


ミシン頭部をどけると、なぜか久々に見るサイズのボタン電池や、一眼レフカメラのキャップが出てきました。
次に、脚となる足踏みミシンテーブルを分解します。メルカリで買ったシンガーの脚です。ばんばん外していったらいいだけですが、引き出しは再利用するので丁寧に外します。
ちなみに奥に見えるグレーのモーターがクラッチモーターです。このモーターを鉄クズ屋さんに持っていったら2,000円になりました。


脚だけになりました。いったん天板を仮置きしてみます。いいサイズ感です。
この天板はいただき物で、木の種類は不明ですが、切粉が舞うとお香のような良い香りがします。玉模様が見える格好いい板です。


板の加工
表面を綺麗にするためと、平面に近づけるために、関の刃物祭りで買ったカンナで削っていったのですが、表はふくらみが大きすぎて埒があきません。数ミリ差があります。


柔らかい針葉樹ならカンナでいけるかもしれませんが、硬い広葉樹なので諦めます。
ということで次はランダムオービットサンダ。これに#40のペーパーをつけてゴリゴリ削りました。
削りすぎると板が薄くなってしまうので、途中差し金を当てながら、多少中央が膨らんだ状態を許容して止めました。その後、全体的に#240、#400で仕上げました。木工は細かくても#400ですね。

端面が完全に綺麗ではなかったので、フラットバーをガイドに使って丸鋸でビシッと4辺を切っておきました。

テンプレート作製
天板には穴が必要です。その穴を新しい天板にコピーする必要があるため、トリマーとアルミ複合板を使ってテンプレートを作成し、作成したテンプレートとトリマーで新しい天板に穴を開けていきます。

トリマーに付けるビットは、ストレートで先端にベアリングがついているものです。
ベアリング部を旧テーブルの穴の側面に当て、刃でアルミ複合板を切っていきます。

電動工具は基本的にマキタの18Vで揃えています。トリマーはビット等色々あるのでケースも合わせて買いました。
まずはテンプレートをずれないよう天板に貼り付けます。
このトリマービットは先端がベアリングで突っ込み加工が全くできないため、ビット進入位置に穴をあけておきます。事前に穴あけ位置にマーキングをしています。
穴ができたら、トリマーを使い、ゆっくり垂直を保ちながらテンプレート用板を切っていきます。


トリマー加工
本格的にトリマーで板を加工していきます。
まずは座ぐり穴。根本側にベアリングが付いた全長が一番短いビットを使いました。


次に全貫通の穴ですが、トリマーだけでやっていこうとしたら、抵抗が強すぎて暴れてしまい、テンプレートごと削ってしまう失敗をしました。なので、一回り内側を穴あけ&ジグソーで切り落としてからトリマーで整えることにしました。3枚目の写真の下側がいきなりトリマーでいった穴、上側がジグソーで粗削りしたところです。



引き出しをつけるのですが、鍵機構がついていたので一応鍵がかかるよう天板裏に溝を掘っておきます。
脚との位置関係、引き出しを設置したい場所を決めて、黒い金具の場所を決めます。この金具は鍵機構が収まるスロット穴を補強する役目と、引き出しを全引きしたときに落下しないストッパーの役目をしています。ちなみに写真は前後向き逆です。
細いビットで溝を掘ります。


塗装
ここまできといてなんですが、43200Gというミシンはモーター操作用のペダル、押え金を上げるペダルの2つペダルが必要です。足踏みミシンの脚はペダルが1つしかありませんし、そのままでは使えません。一番重要なのはペダルをもう1つ追加すること。
元々のミシン客台についていたペダルを移植しようと思って悩んでいたところ、近所の方が通りがかって一緒に考えてくれて、鉄のブロックを作る材料、バンドソーやTIG溶接機を貸してくれました。感謝。

足踏みミシンの脚がこげ茶色で、元の脚などがアイボリーだったため、アイボリーだった金属部品を塗装します。ランダムオービットサンダで荒らした後、プラサフを吹いておきました。
上塗りに使ったのは急遽ホームセンターで購入したラッカースプレー。色はこげ茶色。



オイルフィニッシュ
ここまで来たらあとはほとんど組み立てるだけになります。
組み立ててからではオイルが塗れない部分ができてしまうので、このタイミングで全体にオイルを塗っておきます。蜜蝋と油を使った自作ワックスもありますが、まずはしっかり油をしみこませたいので油です。
オイルは乾性油であれば専用でなくても大丈夫です。アマニ油を使いました。垂らして布で拭き伸ばします。乾性油を含んだ布は自然発火することもあるので、捨てる時は要注意です。
オイルフィニッシュにより各段に見栄えが良くなりました。


何度か塗り重ねておきました。売っていた中では間違いなく一番色が近いですが、明るいところでは色の差がわかります。使用環境はやや暗いので問題ない範囲です。
組み立て
最後は組み立てて完成です。


写真も多く長い記事になりましたが、これでも簡単にするためかなり端折っています。
実際は種々の寸法測定や、細かい部品の用意をしたり、ここに書いていない加工もしていますので、終日ではないですが5日くらいかかりました。
かなり見た目がよく若干コンパクトになり満足です。早速新しいジーパンの裾上げをしようと思います。
ご自愛ください。


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