おはこんばんちは。あた岡狂太郎です。
200系ハイエースのディーゼルエンジンにお乗りの方、エンジン始動が悪いと感じることはありませんか?特に冬は顕著にでると思います。
冬に弱い理由
ディーゼルエンジンの動きを簡単に言うと、圧縮して空気を熱くし、その熱で燃料を自然着火させる。
では冬に指導性が悪くなる理由として考えられるのは、
- 空気が冷たい
- シリンダー壁・ピストンが冷えている
- 圧縮で得られる温度が足りない
- 軽油の霧化(微粒化)が悪化
これらが影響し、燃え始める温度に届かないというのが原因です。ここをどう補ってきたかが、ディーゼルエンジンの技術の進化です。
ディーゼルエンジンの始動性向上の歴史
1.グロープラグ以前(非常に古い)
- 始動補助なし
- 手回しクランク
- 圧縮比が非常に高い(22〜24)
この時代は冬はほぼ始動不能で温水をラジエータに入れたり火を当てていたそうです。
2. グロープラグ登場
予燃焼室式ディーゼルが登場し、グロープラグを配置した小さな副室(予燃焼室)をもつようになりました。電気ヒーターで温めるイメージです。
このころのエンジン始動手順は、以下の通りでした。
- キーON
- グローランプ点灯(数十秒)
- ランプ消灯後にセル
- エンジン始動
グロープラグが死ぬと冬は始動不可になります。
3.機械式直噴ディーゼル
- 噴射ポンプ:機械制御
- 噴射圧:200〜400bar
- 燃料噴射タイミングは固定気味
始動補助としてグロープラグ、冷寒時に噴射時期進角装置がありました。
現代のディーゼルと比べての冬の弱点は以下の通りです。
- 噴射圧が低く霧化が悪い
- 回転数が低いと燃えない
- バッテリー性能に極端に依存
4. 現代ディーゼル(コモンレール時代)
200系ハイエースの1型2KDエンジンも2型以降の1KDエンジンもこれです。
- コモンレール
- 電子制御インジェクター
- ECU制御グロープラグ
- 高圧噴射(1000〜1800bar)
始動時にキーONすると、外気温、冷却水温、吸気温、バッテリー電圧などをECUが一瞬で判断し、グロープラグ通電時間、燃料噴射量増量、噴射タイミング調整、パイロット噴射(少量先行噴射)、始動後のアフターグローを制御します。
冬の始動性に直接関係する要素
上述の通り、技術の進化により賢い制御になっていますが、成立条件が多く、どれか一つ崩れるだけで始動不良になります。
冬の始動性に直接関係する要素を挙げていきます。
バッテリー
バッテリーが弱ると以下のような多くの問題に繋がります。
- セル回らない
- グロー弱い
- ECU誤判断
- 噴射圧上がらない
バッテリーが弱っているかどうか、簡易的に見るなら電気テスターを当てて電圧値を計りますが、エンジンを始動するための力は電圧だけではないので、より詳細に診断するにはバッテリーチェッカーを使った方法を取ります。
グロープラグ&制御
特に、始動はするが長いクランキングが必要まら、グローが怪しいです。クロープラグはシリンダーの数だけあるので4本ですが、1~2本死ぬとか、生きていても抵抗値が高く温める力が弱くなっている場合があります。その場合グロープラグの交換です。
- プラグ単体が壊れていなくても以下が影響していることがあります
- リレー不良
- ハーネス抵抗増
- ECU制御不良
で効いていないことが多い
燃料(軽油)
- 冬季軽油か
- 水が混入していないか
- フィルターが目詰まりしていないか
ガソリン車ではあまり意識しなくてもよいですが、ディーゼル車では燃料フィルターが詰まって始動性や吹け上がり異常に繋がることは珍しくありません。長いこと交換していなければまず燃料フィルターの交換はした方がよいです。
その他には、サクションコントロールバルブが対策品に替わっていないなら対策品に替えるのはやったほうが良いでしょう。
圧縮圧力
- 走行距離が増えると低下
- 冷間時に顕著
温まると普通にかかるのが特徴です。これが原因だとすると、どうしようもないのですが、オイル添加剤入れて圧縮が回復すればラッキーです。
噴射系
- インジェクター摩耗
- 噴霧不良
- リーク(戻り過多)
定期的に燃料添加剤で詰まりを取ることで防止できます。最悪の場合インジェクター交換です。
冬場の始動のコツ
色々と書きましたが、夏も冬も同じ始動方法を取っていて、冬は始動性が悪いなーと思っていらっしゃる方は、まずは紹介する方法でエンジンを始動してみてください。かなり快適にエンジンがかかるようになります。
- イグニッションON
- メーター内のグローランプインジケータ(写真丸印)が点き、数秒で消える
- さらに数秒~10秒ほど待つ
- セルを回す

この方法はコモンレールより前の世代の始動方法ですが、コモンレール世代でもインジケータが消えてもグロープラグは完全にOFFになるわけではないため、長く時間を取ることで良く温められて始動性が良くなります。
修理する前にまずは始動のお作法から変えて試してみてはいかがでしょうか。
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1. [バッテリーメンテナンス] – テスターで電圧を計り、バッテリー液の補充、パルス充電をします
2. [バッテリー交換] – バッテリーチェッカーでの診断、バッテリー交換作業
3. [燃料フィルター交換] – 燃料フィルターの交換作業
4. [サクションコントロールバルブ交換] – 対策品のサクションコントロールバルブに交換する作業
5. [オイル・エレメント交換] – 燃料添加剤について触れています
よくある質問(Q&A)
Q1: ディーゼルエンジンが冬場にかかりにくくなる原因は何ですか?
A: ディーゼルエンジンは圧縮して空気を熱くし、その熱で燃料を自然着火させる仕組みです。冬場は空気が冷たく、シリンダー壁やピストンも冷えているため、圧縮で得られる温度が着火温度に届きにくくなります。さらに軽油の霧化も悪化するため、始動性が低下します。これらの複合的な要因により、特に寒い朝などはエンジンがかかりにくくなります。
Q2: グローランプが消えたらすぐにセルを回していいですか?
A: いいえ、グローランプが消えてからさらに数秒~10秒ほど待つことをおすすめします。コモンレール世代のディーゼルエンジンでは、インジケータが消えてもグロープラグは完全にOFFになるわけではありません。長く時間を取ることでグロープラグがより温められ、始動性が格段に良くなります。この一手間で冬場でも快適にエンジンがかかるようになります。
Q3: バッテリーが弱るとどんな問題が起きますか?
A: バッテリーが弱ると多くの始動不良の原因になります。具体的には、セルモーターが回らない、グロープラグが十分に温まらない、ECUが誤判断する、噴射圧が上がらないなどの問題が発生します。簡易的にはテスターで電圧値を測定できますが、エンジン始動に必要な力は電圧だけでは判断できないため、バッテリーチェッカーを使った診断がより正確です。
Q4: 始動はするが長いクランキングが必要な場合、何が原因ですか?
A: グロープラグの不良が疑われます。グロープラグは4本ありますが、1~2本が故障していたり、生きていても抵抗値が高くなって温める力が弱くなっている場合があります。また、グロープラグ本体に問題がなくても、リレー不良、ハーネスの抵抗増加、ECU制御不良などで効いていないことも多いです。まずはグロープラグの点検・交換を検討しましょう。
Q5: 燃料フィルターはどのくらいの頻度で交換すべきですか?
A: ディーゼル車では燃料フィルターの目詰まりが始動性や吹け上がり異常につながることは珍しくありません。ガソリン車ではあまり意識しなくてもよいですが、ディーゼル車では定期的な交換が重要です。長いこと交換していない場合は、まず燃料フィルター交換を実施することをおすすめします。一般的には5万km~10万kmごとの交換が推奨されます。
Q6: 冬季軽油と通常の軽油の違いは何ですか?
A: 冬季軽油は低温でも凍りにくいよう添加剤が調整されています。通常の軽油を寒冷地で使用すると、軽油に含まれるパラフィン成分が固まり、燃料フィルターを詰まらせたり燃料が流れなくなる可能性があります。ガソリンスタンドでは気温に応じて自動的に冬季軽油が供給されますが、寒冷地へ移動する際や急な寒波の際は注意が必要です。
Q7: 走行距離が増えると始動性が悪くなるのはなぜですか?
A: 走行距離が増えるとエンジン内部の圧縮圧力が低下するためです。ピストンリングやシリンダー壁の摩耗により、圧縮で得られる温度が下がり、特に冷間時に始動性が悪くなります。温まると普通にかかるのが特徴です。根本的な解決にはエンジンのオーバーホールが必要ですが、オイル添加剤で圧縮が回復する場合もあります。
Q8: インジェクターのメンテナンスは必要ですか?
A: はい、インジェクターは定期的なメンテナンスが重要です。インジェクターが摩耗すると噴霧不良やリーク(戻り過多)が発生し、始動性が悪化します。定期的に燃料添加剤を使用することで、インジェクター内部の詰まりを予防できます。症状が深刻な場合はインジェクター交換が必要になりますが、添加剤による予防メンテナンスでトラブルを防ぐことができます。
Q9: サクションコントロールバルブの対策品とは何ですか?
A: サクションコントロールバルブ(SCV)は燃料系統の重要な部品で、初期型には不具合が発生しやすいものがありました。対策品は改良されたバージョンで、始動性や燃料供給の安定性が向上しています。まだ対策品に交換していない場合は、始動性改善のために交換することを強くおすすめします。比較的簡単なDIY作業で交換可能です。
Q10: 現代のコモンレールディーゼルと機械式直噴ディーゼルの違いは何ですか?
A: 最大の違いは噴射圧と制御方式です。機械式直噴は噴射圧が200~400bar程度で機械制御ですが、コモンレール式は1000~1800barの高圧噴射を電子制御で実現しています。コモンレール式では、ECUが外気温、冷却水温、吸気温、バッテリー電圧などを瞬時に判断し、グロープラグ通電時間、燃料噴射量、噴射タイミング、パイロット噴射、アフターグローまで最適に制御します。これにより始動性が大幅に向上していますが、逆に言えば成立条件が多く、どれか一つ崩れるだけで始動不良になる可能性があります。
ご自愛ください。

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